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あなたは死にたいと思ったことはありますか

あなたは生きていたいと思ったことはありますか

 
 
                生と死
 

 
「おっくん」
 
本をねっころがりながら呼んでいる加藤さんに
ソファーに座りながら楽譜を見ているおれに話をかけた

「何でしょうか」

本を閉じてテーブルの上におきおれのとなりに座った
おれもとりあえずテーブルの上に楽譜をぱさっとおいた
そして手をかとうさんの頭の上に置いた

その置いた手をゆっくりと頭をなでる
加藤さんのあたまはてこんとおれの肩に下りてきた

「どうしたん」
「おっくんはさ生きてるのと死んでるのどっちがいいと思う」

何を言うかと思えばば予想もしないことを口にした
なにをどう考えてそんなことをおもったのかさっき読んでた本に何か書いてあったのか

「加藤さんは?加藤さんはどっち?」
「僕は」

まずは本人の意見を聞きたくてとりあえず聞いたけれども
「僕は」と言ったままその続きを言ってくれない
なにも迷うことは無いとおもうんだが
いま本人は何を考えているのだろうか

「おれはね」
「・・・・・」

続きを聞けないなら意味がない
そう思い自分の意見を加藤さんに聞かせた
たまには死にたいと思ったことはあるけれど
やりたいこととかをやり遂げていないからそれをやり遂げたいと思って
生きたいと思う
ただやりたいことをやるだけのために生きたいと思っているわけじゃない
見たいもの触りたいもの聞きたいもの食べたいもの嗅ぎたいもの
そして愛したいと思うもの
それを見届けたりしていたい
そんなことを加藤さんにつたえた

「そんなところかな」

若干苦笑しながらそれをいった
それを聞いた加藤くんは
肩から頭をはなして口を開いた

「僕もそうなのかな」
「そうだとええなぁ」
「・・・・うん」

手を頭から加藤さんの頬にあて
優しくキスをした

唇を離し
おれは加藤さんの肩をつかんでいった

「死ぬなんてもういわんで」

それを聞いた加藤さんは
目にほんのりと涙を浮かべて

「うん」

そういって抱き合った

「もういわない」

その言葉はきっと心から言っている気がして
ぎゅうっと加藤さんを抱きしめた
 
 
end
 
 
 
 
コメント
 
前に見たポップン小説の中に
「生」と「死」のことについての話があったので
ネタいただいてまいりましたー
最初はおっくんじゃなくてよーすけでした
なんか洋藤が多いから奥藤を・・・
なぜにうちのサイトは本命が少ないのだろうかぁ


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